日記 55
23歳が終わる。
今までに無いほど濃い一年間だったと思う。
社会人一年目は、自分が、自分の想像をはるかに超えるほど無力であるという事を、これでもかと突きつけられる日々だった。
無知の知を認識する第一歩だった思う。
あとは、インターネットのコミュニティの中の一部に、自分が溶け込む体験ができた。
初めてネットの世界で自分の居場所といえるものだった。
本当に楽しい毎日だったけど、それはあっけないほど簡単に終わる空虚さを孕んでいることを実感できた。
知らなかった世界で、色んな人を見てきて、自分は何もない人間だと認識した。
何もない一年だったら、そういう事に気づくこともなかったと思う。
自分は何もできないし、何も持って生まれてこなかった。
自分はそういうタイプの人間だったんだ。
ようやくその事に気づけた、いい23歳だった。